oremas0409のブログ

この記事かなり良いカモね

『アットホームな職場です』の求人は即地雷?求人広告を書いていたわたしが真相を書くよ

残念。珍しくこの記事にはユーモアはないよ

ひと昔前、ネット界わいで話題になった求人における地雷ワード

「求人サイトに”アットホームな職場です”が書いてあったら、そこはブラック企業だ!」

「”未経験者歓迎”の求人は絶対に止めた方が良い」

「”長期キャリア育成のため〇〇歳まで”が入ったところは応募するな!」

など求人募集内容に書かれた文言で様々な噂が広まりましたが、果たして本当にそうなのでしょうか?

実際に求人広告を書いていたわたしがお答えします。

先に結論を記すと、

上記文言の有無でブラック企業と言い切るのは難しく、それ以前にブラックか図ることすらできません

一つずつ解説します。

そもそもの広告完成までのフローを記すと……、

求人広告が出来るまでのフロー

1、企業が求人情報誌や求人サイトに求人の掲載を依頼

2、依頼された内容を社内(外部への委託もある)の記者に情報を流す

3、記者が情報を整理して文章を作成

4、企業に作成した広告を見せて確認

5、納得いただければ出稿(ゴー)or納得できなければ必要箇所の訂正(ボツ)

多くの広告代理店に言えますがこれが基本です。

 

そして求人広告を依頼するほとんどの企業に言えますが、要望が漠然としていることがとても多いです。

「真面目な人が応募する求人広告を頼むよ」←それってどんな求人?

「明るい人が来るようにお願い」←それってどんな求人?

「さあさあ、これを見ている真面目な人! 今すぐ応募してください!」

これで済むなら記者は入りません……。

第一「真面目な人」とはどのような人でしょう? 真面目という決まった尺度のないものでは自分が真面目だとは言い切れません。それに応募しても実際企業はあなた以上の真面目を求めているかもしれませんよね?

そして求人の世界では「明るい人大募集」のような、見ているその人の性格・個性について触れているものは掲載そのものができない決まりになっています。(明るい対応ができる方ならOK)

しかしながら企業は「欲しい人材」についての要望こそあれ、そんな『「欲しい人材」に会社は何をアピールしますか?』には答えられないケースがほとんどです。

例えば、入社後すぐに活躍できる経験者の技術職が欲しいなら、そんな人に対しての嬉しい、

「わが社には資格手当があり、業務に必要な資格があれば資格一つに付き月給が1万円アップします」など経験者にとってのメリットがあるならまだしもそれがない……。

そしてそんな時に登場したのが、はい。

「アットホームな職場」

うちの会社には社員同士のいがみ合いがないことをアピールしたい……。

(そんな思いと)カタカナを交えたキャッチ―さから「アットホームな職場」は求人広告界で定型文となったのです。

ゆえに「アットホームな職場」が求人広告で持つ意味合いは「社員同士の関係は良好」でしかなく、この文言だけであれこれと憶測させるのは邪推であり無駄としか言えません。深い意味なんてないんですもの

もちろん、アットホームな職場以外に「伝えるだけのメリットがない」と思っている企業の中には、その企業が当然のことのように実施していて気付いていない良い点がたくさんあります。相場よりも給与が高い、休憩室の好きなだけ食べて良いお菓子は社長の自費、社長の気まぐれで業務終了とかとか。

(ちなみにアットホームな職場といっても、正確には社員同士の仲は良好から普通な所ばかりです)

 

そんな感じで「未経験歓迎」も深い意味はありません。

あるのは本当にただ、うちは未経験からはじめた人ばかりだから未経験からでも大丈夫ですよ~。歓迎してますから肩肘張らないでね~。だけでしょう。

 

(「長期キャリア育成のため〇〇歳まで」は専門的な話になりますが、いわゆる年齢制限というもの。

求人の世界では年齢を理由に応募を拒否するということは不当でできないのです。

しかしながら会社である以上退職の時期には決まりがある。それなのに応募者が退職間近の人ばかりでは求人広告を出した意味がなくなってしまう……。

そこで作られたのが年齢制限

これにより「長期キャリア育成のため」のように年齢を制限する理由があれば、30歳以下など応募者を制限できるのです。

しかしながらこの「長期キャリア育成のため〇〇歳まで」を使うと、その求人広告は経験者への訴求(うったえかけること)はできなくなる、という仕組みになっています。

また年齢制限を付けたら「例外事由3号のイ」や「例外事由3号のイ適用」と記さなければなりません。ちなみにイはイロハ二ホヘトの イ なので ロ や ハ もあります)

ではなぜ「アットホームな職場です」は地雷などと言われようになったのか?

理由は二つ。

一つは、定型文と化した「アットホームな職場です」に所有者がおらず誰でも自由に使える……。その結果「アットホームな職場です」を用いた求人広告の母数が増えると同時に相対的にブラック企業も増えたから

そしてもう一つ目は、そう結論付けた方が面白いから

一般的に人はポジティブな話よりもネガティブな話を好む傾向にあります。

例えば、
「隣のクラスのAさんが道のゴミを拾っていた
「隣のクラスのAさんが道にゴミを捨てていたでは、
どちらが広まるでしょう?
正解は言うまでもなく後者で、これはSNSなどのいわゆる炎上と同じ原理です。つまるところ広まった経緯としては話題になるからでしょう。
またよっぽどの心温まる話でもない限り、美談は刹那的な話題でしかありませんもの。

最後に

わたしの好きなムーミン谷の住民の言葉にこんなものがあります。

『大切なのは自分のしたいことを自分で知っていることなんだ』(スナフキン)

情報が錯綜する現在。時には誰かの熱い思いに流されるのも良いけど、そんなことばかりでは自分の感情さえ置いてけぼりにして、いつしか自分は知らないどこかに吹かれて行っちゃうよ。